通所型高齢者ケアモデルを新たな福祉の柱に
総書記トー・ラム氏が提案した「朝に通い、夕方に帰る」通所型高齢者ケアモデルについて、専門家らは、急速な高齢化と家族の多忙化が進む現在、このモデルを新たな社会保障の柱とすべきだと指摘している。 9月16日に行われた党中央決議の徹底会議で、トー・ラム総書記は高齢者の「孤独対策」の重要性を強調し、「日中の高齢者ケアセンターは正しい方向性だが、実施の進捗は遅い」と述べた。総書記は「朝、子や孫が仕事や学校へ行き、家に一人残る高齢者が孤独にならないよう、民間も参入できるような具体的なモデルの整備が必要」と訴えた。 総書記によると、センターでは送迎サービスを行い、利用者が友人や元同僚と再会し、スポーツや音楽、文化活動などを通じて交流できる環境を整えるべきだという。「子どものケアも重要だが、高齢者への配慮も欠かせない。これらの取り組みは健康寿命を延ばし、生活の質を高める」と述べた。 ベトナム高齢者協会中央副会長のチュオン・スアン・クー博士は、トー・ラム総書記の提案に賛同し、「高齢者ケアの需要は今後さらに拡大していく」と指摘する。かつての「四世代同居」という家族の伝統は薄れ、現在では独立志向が強まり、高齢者が子ども世帯と別々に暮らすケースが増えているという。 クー氏によると、2024年時点で全国の高齢者ケアセンターは約300か所にとどまり、利用者は約1万1,000人。一方、同年の国勢調査によれば、60歳以上の人口は約1,420万人に達し、2030年には1,800万人近くまで増加すると予測されている。 同氏は、「通所型のデイサービス施設は、入所型に比べて運営コストが低く、健康で自立した高齢者にとって利用しやすい」と説明する。このモデルにより、体力の維持や認知機能の低下防止が期待できるという。さらに、同年代の仲間と交流することで心身の若返り効果も見込める。 「同じ世代、同じ価値観を持つ人々が集まり、語り合い、共有することは、高齢者の感情を若返らせ、人生への愛着を取り戻すきっかけになる」とクー氏は述べ、「こうした精神的な支えは、家族でも代わりに提供するのは難しい」と強調した。 国会社会文化委員会のタ・ヴァン・ハー副委員長も、「高齢者ケアは今や極めて喫緊の課題だ」と指摘する。社会の発展とともに労働強度が高まり、若い世代が親や祖父母と過ごす時間が減少。結果として、高齢者は介護不足や孤独、さらには虐待や抑うつなど深刻な問題に直面している。 ハー氏は、「高齢者の多くは持病を抱え、身体能力や判断力が低下しており、自分自身の世話も難しくなっている。依存状態が続けば、自分は家族の負担だと感じ、精神的に追い詰められてしまう」と警鐘を鳴らす。 一方で、「老人ホームに預けることは不孝だ」とする伝統的な考えも根強く、家族が施設利用をためらう傾向もある。こうした背景の中で、日中のみ利用できる「半日型」または「通所型」のケア施設は、「高齢化社会にふさわしい現実的な選択肢」であり、高齢者に自立と社会参加の機会を与えるものとして期待が高まっている。 社会文化委員会副委員長 ター・ヴァン・ハー氏(写真:ホアン・フォン) 国立経済大学の上級講師であるジャン・タイン・ロン教授は、現在の政策は医療分野における抜本的な変革の基盤を築いており、「3A」の理念に沿った方向で進んでいると評価している。「3A」とは、アクセスのしやすさ(地域医療の強化による医療へのアクセス向上)、支払い能力(柱となるのは医療保険制度)、そして適切かつ十分な医療サービスの提供を指す。 世界保健機関(WHO)の最新報告によると、世界では6人に1人(16.7%)が孤独を感じており、高齢者においては3人に1人(33.3%)にのぼるという。WHOは孤独を世界的な公衆衛生上の課題と位置づけており、心身の健康を静かに蝕む問題と警鐘を鳴らしている。また、ベトナム高齢者全国調査(VNAS)によれば、孤独はうつ病のリスクを高める要因となっており、特に女性、高齢の中でもより高齢の層、そして一人暮らしの人で孤独を感じる割合が最も高いという。 ロン教授は「心理的な側面から言えば、多くの高齢者は長期間老人ホームで過ごすよりも、子や孫と顔を合わせることを望んでいるのではないでしょうか」と述べた。しかし、現代の生活リズムは世代間の距離を広げつつある。毎日家族と同居していても、若者が多忙なため、必ずしも十分な交流があるとは限らない。さらに、高齢者一人ひとりは文化、健康状態、家庭環境などが異なるため、効果的なケアを行うには長期的な取り組みが必要だと指摘した。 [...]